甘みをつける調味料、甘味料の一つが穀物から作った米あめ
そもそも甘みは人間が本能的に欲する味覚ですが、甘み=甘味料ではありません
食事の時に穀物をよく噛むと、口の中で唾液に含まれる消化酵素の働きで米のデンプン(糖質)が分解され糖に変わるから
米から作った「米あめ」は、歴史を遡ると古事記の時代まで辿れる、遠い昔から日本人に親しまれてきた発酵甘味料
江戸時代、文政5年創業の老舗・小笠原商店さんの米あめは、澄んだ美しい琥珀色
親から子へと代々伝えられた昔ながらの製法で、優しくまろやかな甘み、穀物独特の滋味が感じられ、口の中でしつこい甘さが残りません
小笠原商店七代目当主・藤田栄一さんは、製法を知っていましたが、県の工業試験所で米あめ作りを一から実験
「なぜ米と麦芽から飴ができるのか、理屈を知り、お客様に説明できるようになりたかった」からだそうです
米あめは滋養豊富で消化吸収がよく、昔から、あめ湯にし、のどの痛み止めや病気のときの栄養補給に使われ、あめを食べると母乳の出がよくなるともいわれています
成分を分析すると、ミネラルが豊富で、穀物のアミノ酸が含まれています
表作で栽培されたもち米と、裏作の大麦、多良岳山系の精冽な鹿島の水と、全ての原料は佐賀県で賄えます
米あめ作りは、大麦を麦芽させる麦芽作りから始まります
発芽した大麦を砕き、もち米は水に浸してから蒸し上げます
釜に湯を用意し、もち米を入れ、静かにかきまぜて粥状にし、数回に分けて麦芽を投入
麦芽に含まれている酵素のひとつがもち米のデンプンを食べ、どろどろのお粥をさらさらの液体に変えていき(液化)、さらに違う酵素がデンプンを甘い糖に変えていきます(糖化)
液化と糖化で冬場は2日ほどかかり、サラサラになった米液が十分甘く発酵した後、3日目に何度も漉し、あめの原液を作ります
発酵までの工程は企業秘密
原液を3時間以上かけて1/3ほどに煮詰める最終段階では、絶えず浮くアクをすくいとり、泡の状態、色の変化を見ながら火力を加減し、熟練のワザを使い、原液を濁さずに詰めていきます
特にアクが残ると米本来の味を邪魔するため、アクをこまめにとり除くことが肝心
アクをきれいに取り除くと、雑味のない米の豊かな風味が残った琥珀色の米あめが完成
とろりと煮詰めた米あめを漉してビンに詰めるのも手作業
こうして完成したのが「オーサワもち米あめ」です
藤田さんとはAMA Japanの「Natural Rice Sweetner」の食プロジェクトにて米国で米あめの良さをお伝えする仕事に2004年より携わっております